川辺川ダムは少し前進?
「ダムに依存せず」 農水省、川辺川利水で回答
農水省は三十日、国営川辺川土地改良事業(利水事業)を川辺川ダムに依存せずに進めることを国土交通省に通知した。九州地方整備局の問い合わせに、九州農政局が回答した。国交省はダム建設目的から利水事業を除外する作業に移る。目的をほぼ治水に絞り込んでダム基本計画の見直しを急ぎ、早期の本体着工を目指すとみられる。三十年以上にわたり利水事業を抱えてきたダム計画は変更の節目を迎える。
昨年十一月、球磨川・川辺川流域自治体でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」が利水事業とダム建設それぞれの前進を目指し、ダム目的から利水事業の切り離しを決議。国交省に利水を除外するよう求めていた。
九州農政局は昨年五月、利水事業の新計画策定の際、水源として川辺川沿いの既設発電用水路を活用する案を提示。その際、「ダムに依存しない」と明言した。
関係者によると、国交省が二十六日に送付した「ダム建設に利水事業を加えたいか」との問い合わせに、九州農政局は三十日、「既にダムには依存しない方向を示している」という趣旨を伝えたという。
国交省は、ダム目的から利水事業を外す作業に伴い、ダム本体規模の見直しは避けられないとみている。だが、残る「治水」「水力発電」「流量調整」の目的を維持して大幅な見直しを避け、従来通り多目的ダム法に基づいて本体建設を進める考えをこれまでも示している。
利水事業は人吉球磨六市町村に農業用水の配水を目指すが、旧計画の違法性を指摘した福岡高裁判決が確定。新計画策定が二〇〇三(平成十五)年から続けられる中、最大受益地の相良村が昨年七月、事業負担金が重いなどの理由で事業離脱を決定。昨年十一月には、河床掘削などで洪水対策が可能としてダム建設にも反対を打ち出した。
このため新利水計画策定はストップし、利水を抱えたままではダムの規模が確定しない状況だった。