川辺川ダムは必要です。
我らの元会長が熊日新聞のインタビューに答えた記事です。
(4)治水遅らせる反対派主張 工事止まれば業者に痛手
神崎弘光「球磨川流域の生活と安全を考える会21」会長
◇かんざき・ひろみつ 神崎建設(湯前町)社長。「考える会21」は03年の住民討論集会スタートを機に、ダム推進の建設業者や商業、農林業者らで結成した。49歳。
―川辺川ダムは、なぜ必要なのか。
「私たち建設業者は災害時、行政から依頼を受け、土砂降りの中で昼夜を問わず、土のう積みをする。球磨川水系では、こうした危険な作業に毎年のように追われる。だが、球磨川本流の最上流部に市房ダム(球磨郡水上村)が一九六〇年に完成した後、上流域ではそういうことが少なくなった。ダムの治水効果は一目りょう然。近年の予測できない大雨や、温暖化の影響を考えれば、建設予定地の相良村から八代市に至る生命、財産を守るために川辺川ダムは必要だ。球磨川水系の長期治水方針をつくる国土交通省の検討小委員会を何度も傍聴した。大半の委員がダムによる治水の必要性を認めており、議論に納得している」
―反対派は、ダムによらない治水対策で十分と主張する。
「反対派は河床掘削や遊水地、河道拡幅、堤防かさ上げなどを挙げるが、川底の地形や流域の植生など自然界は複雑で、代替案は環境に広範な影響が考えられる。ダムの環境への影響も少なくないものの、国交省は下流の一定流量を確保し、清水バイパスできれいな水を流すなど配慮を考えている。都市部での堤防かさ上げは民家の大規模な移転が必要で、総工費がばく大となる。本体工事を残すのみとなった今、ダムの方が進めやすい。反対派の主張は治水対策をさらに遅らせる。何より苦渋の決断を受け入れた五木、相良の両村民に説明できない」
―その相良村の矢上雅義村長が民意などを理由にダム反対を表明した。
「この一年の言動から、矢上村長はいつか反対を表明するだろうと思っていた。(贈賄罪に問われ公判中の)負のイメージを払しょくするための政治的パフォーマンスに映る。仮に村民による住民投票が行われれば、反対が多くなるかもしれない。ただ治水は相良村だけで論じられる話ではない。下流域の意見も聞き総合判断すべきだ。ダムの目的の一つだった国営川辺川土地改良事業(利水事業)は、かんがい用水を確保する農業振興の起爆剤。人吉球磨の五十年、百年先を考えれば、基幹産業の農業を再生させないといけない。矢上村長の言う『身の丈にあった事業』は将来ビジョンが見えない」
―ダム建設によるメリットは、地元建設業にあるのか。
「本体工事は大手ゼネコンが受注するのではないか。地元業者は期待できないのが現実。関連工事で孫請け、ひ孫請けに入れるかどうか。一方の利水事業は送水管の敷設や畑地整備など、さまざまな工事の広がりが考えられる。正直に言うと、業界は利水があるから踏ん張ってきた。どの業者も、業務の合理化はやり尽くしている。本体工事も利水事業も止まってしまえば、人吉球磨の建設業者は三分の一から半分ぐらいまでリストラされるだろう」
―ただ国、県とも打開策を見いだせていない。
「検討小委の結論が早急にまとまり、国交省は次の作業を進めて工事を再開してほしい。洪水はこの夏にも起きるかもしれず、一刻の猶予もならない。利水でも、水を待っている農家に早く届ける方法を考えてほしい」(聞き手・林田賢一郎)
熊本日日新聞 2007年1月21日朝刊掲載